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STORY OF A HOME / S FAMILY

結露と温度差の家から、年中、薄手の服で。

設計担当 黒坂 周吾

設計担当 / Shugo Kurosaka

黒坂 周吾

「家は、家族の暮らしを育む場所」

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結露と、部屋ごとの温度差。集合住宅での困りごとが、高気密という要望になりました。ヌックと回遊動線も取り入れた住まいです。ご家族への聞き取りと、設計担当・黒坂の話をもとにご紹介します。

PROLOGUE

結露と温度差に、困っていた。

S様ご家族との出会いは、ホームページからの資料請求でした。そのあとご来場いただいたところから、家づくりが始まっています。

「絶対にこの時期までに」という明確な期限があったわけではありません。「これから先の生活を考えたときに、そろそろ自分たちの家を持ちたいと思ったのがきっかけです」。黒坂によると、年齢的にそろそろという思いに加えて、お子さんの入学のことも踏まえての家づくりでした。

ご家族がもともと住んでいたのは、集合住宅でした。「窓やドアの断熱性能がそれほど高くなく、結露の発生や部屋ごとの温度差に困っていました」。

とくに冬の朝でした。「窓まわりに結露が出たり、部屋によって温度差を感じたりすることがありました。朝起きたときや、暖かい部屋から廊下などに出たときは特に寒く感じていました」。住み慣れた地域で、そこを変えるための家づくりが始まります。

ご家族は、高性能な住宅を求めてご来社されました。ニッケンホームも住宅の性能にはこだわりを持っていたので、話が盛り上がりました。

最初の面談では、「家づくりでやりたいことや、今の暮らしで不便に感じていること、予算のことなどを話したと思います」。そのときの印象を、S様はこう書かれています。「こちらの話をしっかり聞いてもらえたので、最初から相談しやすい印象がありました」。

ご主人は理系のお仕事をされている方で、打ち合わせでは、ご主人から先に考えが出てくるスタイルでした。黒坂がそれに一つずつ答えながら、理想の性能と間取りを突き詰めていった家です。

住宅会社は、ほかとも比べて選ばれました。決め手は2つでした。「耐震性、気密性、断熱性のバランスが取れていたこと」。そして「希望の住宅設備を含めた見積額が他社よりも低かったため」。

01 FINDING THE LAND

ここに、希望する家が建てられるか。

土地は、いくつかの候補を見ながら決められました。決め手になったのは、バランスでした。「土地については、ほかにも何ヶ所か候補を見ました。広さや価格、周辺環境など、それぞれ良いところはありましたが、最終的には立地と土地の使いやすさのバランスが一番良かったことが決め手だったと思います。家を建てたあとの暮らしもイメージしやすかったです」。

はじめは、一宮市や小牧市で土地を検討していました。どちらも清須市より通勤に時間がかかります。通勤なども考えると、清須市がいちばん条件のよい場所で、それが決め手のひとつになりました。

最後に決めたのは、S様ご自身が見つけてきた土地でした。区画整理でちょうど出てきたところで、区画整理のため条件がよく、仲介手数料などの諸経費もかかりませんでした。

良い土地が出た。ただ、区画整理の土地には、通常の土地と異なる点もあります。S様は、そうした点も含めて確かめたいというご意向でした。黒坂はさっそくひとりで土地を見に行き、役所や土地区画整理組合で調べています。

見方も、土地だけを見るものではありませんでした。「土地だけを見て決めるというよりは、『ここに希望している家が建てられるか』というところも含めて相談しながら検討しました」。

購入する前には、土地の条件も確かめています。「購入前にはハザードマップなども確認し、浸水の可能性や周辺環境についても一通り確認しました」。地盤については、建築の際に調査が必要になるという説明を受けていました。

希望する家まで考えて、土地を選ぶ
比べたこと・確かめたことを、1枚に。

02 WHAT THEY LIKED

打ち合わせの中で、自分たちに合うと感じたもの。

ヌックと回遊動線は、最初から必ず入れると決めていたものではありませんでした。「間取りの打ち合わせをしている中で提案してもらい、『こういう使い方もできるんだ』と感じたのを覚えています」。

どちらが先に言ったかは覚えていませんが、「二人とも比較的すぐに『いいね』となったと思います」。「打ち合わせをしていく中で『自分たちの暮らしには合いそうだ』と感じて採用した部分です」。

ひとつはヌック。床が一段上がった、こもれる小さな居場所です。この家では、リビングと子供部屋の2か所にあります。もうひとつは回遊動線。行き止まりのない家事の動き方です。

木枠で囲った、1段上がったリビングのヌック。奥の壁はグレー、ペンダント照明が2灯
リビングのヌック。子供部屋にも、形を変えて同じ居場所があります。
造作の洗面台と、奥のキッチンへ抜ける通路。右手に可動棚
パントリーからウォークインクローゼット、洗面へ。行き止まりのない動線。
家型の開口に、一段上がった板の間を設けた子供部屋のヌック。壁はラベンダー色
子供部屋のヌック。開口は家型に、壁はラベンダー色に。

間取りを決めていく中では、黒坂からのアドバイスもありました。「自分たちの希望をそのまま取り入れるだけではなく、実際に生活したときの動線や使いやすさについてアドバイスをもらったのを覚えています」。

「『できる・できない』だけではなく、『こちらの方が暮らしやすいと思います』と理由も含めて提案してもらえたので、相談しながら間取りを決めていきました」。見た目は良くても使い勝手が悪くなりそうな部分には、別の案を出すこともありました。

間取りはご自分たちでもある程度考えていました。そのうえで「実際の生活をイメージしたときに、家事動線や部屋同士のつながりを考えて打合せ出来ました」。「特に水回りや収納の配置などは、使いやすさを考えて調整してもらった記憶があります」。

気づかされたこともありました。「自分たちでは気づいていなかった動線や収納の考え方などを教えてもらったことが印象に残っています」。「図面だけを見ていると分からないことでも、『実際にここで生活するとこうなりますよ』と説明してもらうことで、初めて気づくことがいくつかありました」。

家づくりでいちばん迷われたのは、間取りでした。決め手にしたのは「日常の使いやすさ」です。なかでも迷われたのが、1階のヌックです。最初の計画では2帖の広さで、階段の右側の収納ともつながった、より秘密基地のような居場所でした。使い方も、読書だけでなく、いろいろに使える場所として考えていました。

ところが終盤になって、リビングの広さに悩まれます。家具の配置まで細かく打ち合わせるなかで、ヌックを小さくしようという話が出ました。言い出したのは、ご主人でした。

黒坂が確かめたのは、「サイズが小さくなるので用途が限られてくるが問題ないか」ということでした。縮めるなら、読書を主にした場所に。そういう話になり、ヌックはいまの大きさになりました。右側の収納とは用途を分け、そのぶん壁面に本などをしまえる場所を設けています。

グレーの壁のリビングのヌック。右手の壁の上のほうに白い棚が3段
ヌックの右手に、本などをしまえる棚。縮めたぶん、収納とは用途を分けました。

予算の使い方にも、はっきりした考えがありました。「毎日の生活に関わる部分には、できるだけ予算をかけたいと考えていました。特に間取りや動線など、あとから簡単には変えられない部分は大切にしました」。一方で「すべてをグレードアップするのではなく、自分たちにとって優先順位が低い部分については抑えるようにしました」。抑えたのは設備や建具です。「必要以上にグレードを上げず、標準仕様をうまく使いながら抑えた部分もあったと思います」。

キッチンは、途中で選び直しています。最初はグラフテクトのキッチンを予定していましたが、さまざまなメーカーや仕様を比べ、最終的にはコストと仕様、デザインのバランスからLIXILのキッチンに決めました。

03 THE LOOK OF THE HOUSE

黒の落ち着きと、木の温かみと。

外観の色は、黒から始まりました。「黒い外壁の落ち着いた雰囲気が好きだったのですが、全面を黒にすると少し重たい印象になるかなと思い、玄関まわりに木目を取り入れました」。

玄関まわりに使ったのは天然木です。「年月が経つにつれて少しずつ風合いが変わっていくのも楽しみの一つです」。

「黒のかっこよさと木の温かみのバランスが気に入っていますし、これから家と一緒に木の経年変化も楽しんでいけたらと思っています」。

同じ木目は、室内にも通っています。「全体的に落ち着いた色合いと木目の組み合わせが好きで、床や建具なども統一感が出るように意識しました」。

04 AIRTIGHTNESS

気密を、高めたい。

性能で、ご主人からはっきりご要望があったのが高気密でした。

理由は、前の住まいにありました。「以前の家は外気の影響を受けやすく冷暖房費が掛かっていたので何とかしたいと思っていました」。「省エネ性の高い家にしたいと思い高気密を要望しました。特に夏や冬の冷暖房費が削減できることを期待しました」。

C値は、家にどれくらい隙間があるかを表す数字です。ご要望に合わせて施工を進め、この家のC値は0.41 cm²/㎡になりました。

この家の気密性
C値(測定値)。床面積1㎡あたりの隙間の面積。小さいほど隙間が少ないことを示します。

断熱も、壁の外側にフェノールフォームを45mm。窓は樹脂サッシ、換気は熱交換型です。UA値は0.38になりました。

熱の逃げにくさを、基準と比べる
UA値[W/(㎡・K)]。小さいほど熱が逃げにくい。UA値だけの比較で、認定・適合を示すものではありません。

05 LIFE IN THE NEW HOME

年中、薄手の服で過ごせる家に。

取り入れた空間は、いまそれぞれの使われ方をしています。

リビングのヌックは、「ソファの代わりや、お昼寝スペースとして活用しています」。洗濯物をたたむ場所にもなっています。子供部屋のヌックは、「子供の友達が泊まりに来たときのベッド代り」としても使われています。

回遊動線については、「非常に便利で作って良かったと思います。朝の混み合う時間帯でも渋滞せずストレスがありません」。キッチンは、まわりを回遊できるセパレート型(二型)で、アイランド型のように使えます。シンク横には70cm幅の通路があり、「リビング側から冷蔵庫やシンクに最短距離でアクセスできるので日頃から重宝しています」。

それぞれの場所が、暮らしに合う
2か所のヌックと回遊動線の、いまの使われ方(説明用のイメージ図)。
ソファとダイニングの右手に、床が一段上がったヌックのあるLDK
LDKの右奥に、そのヌック。ソファやダイニングから見える位置です。

引き渡しの日のことも伺いました。「ようやく完成したという嬉しさと、これからここで生活が始まるんだという実感がありました」。

「住み始めてからは、子どもも新しい家を楽しんでいて、家の中を走り回ったり、それぞれ気に入った場所で過ごしたりしていたのが印象に残っています」。ヌックも、そのひとつかもしれません。

そして、気密と断熱の結果です。「室温が外気温に影響されにくくなり、年中、薄手の服で過ごせています。真冬に窓が結露することもほぼなくなりました」。結露と部屋ごとの温度差に困っていた集合住宅から、ここまで変わりました。電気代も高くないと伺っています。

土地は、通勤も考えて選んだ清須市で、区画整理により出てきた土地を、ここに希望する家が建てられるかまで相談して選びました。予算は、あとから変えられない間取りと動線に寄せ、キッチンはメーカーを比べ直して決めました。図面だけでは気づかなかった動線と収納の考え方は、打ち合わせの中で教わりました。いちばん迷ったリビングのヌックは、リビングの広さのために2帖から縮め、そのぶん壁面に本の置き場を設けました。いまはソファ代わりとお昼寝の場所です。子供部屋のヌックは、お子さんの友達が泊まるときのベッド代わりになっています。回遊動線は、朝の混み合う時間に効いています。全面を黒にせず玄関まわりに入れた木目は、床や建具の色合いとそろえた室内にも通っています。前の住まいで困っていた結露と温度差は、ご主人の高気密という要望から、C値0.41という数字と、年中薄手の服で過ごせる暮らしに変わりました。

濃いチャコールの壁に、造作カウンターと棚を2段。横長の窓のある2階の書斎
「在宅ワークをするときや、ゆっくり本を読んだりできる場所があるといいな」と設けたスペース。

設計担当・黒坂 周吾から

バランスの良い配色はもちろん、性能から細部のこだわりまでS様らしい家に仕上がったと思います。
この記事をつくるにあたって、改めてご家族の思いを伺いました。ご主人が家づくりに対してすごく真剣で、研究熱心な方だったので、その思いを改めて感じました。
非常に仲の良いご家族で、ご家族それぞれが自分の居場所を持っているお住まいになったと思います。

今伊勢町2階建てモデルハウスの室内

VISIT A MODEL HOUSE

写真で気になった暮らしを、今度は、実際の住まいで。

広さの感じ方、家事の動線、素材の手ざわり。
ニッケンホームのモデルハウスで、確かめてみませんか。