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STORY OF A HOME / B FAMILY

隣に何が建っても、明るいリビングを2階に。

設計担当 青山 享平

設計担当 / Kyohei Aoyama

青山 享平

「要望をそのまま形にするだけでなく、暮らしとコストのバランスまで一緒に考える」

名古屋市のアパートから、電車で通える一宮へ。決めたのは、周りの家がまだ建っていない分譲地でした。隣にどんな家が建っても明るいように、リビングは2階へ。庭の代わりに、8帖のアウトドアリビングをつくった家ができるまでを、設計担当・青山への聞き取りからご紹介します。

PROLOGUE

名古屋は、どうしても土地が高い。

B様は、ご夫婦と、当時5歳の長女さん、3歳の長男さんの4人家族です。家を建てる前は、名古屋市のアパートで暮らしていました。名古屋市ということもあって、外で遊ばせるのがなかなか難しい。家の中で走り回ると、上下階の人に迷惑がかかる。実際に、走り回って「うるさい」と言われたこともありました。そこが結構な悩みだった、と青山は聞いています。

家を建てたいという気持ちは、もともとありました。動き出したのは、長女さんの小学校入学までの時期、タイミングを考えてのことです。いちばんは、入学してから転校させないためでした。悩みは土地です。名古屋は、どうしても土地が高い。それなりに電車で通勤できる距離なら、名古屋市内でなくてもいい。名古屋の近郊で建てたい。そう考えていました。

もうひとつ心配だったのが、保育園です。名古屋市だと、保育園の空きが少ない。保育園や小学校までの距離は、ご家族がかなり気にしていたことでした。

  • 電車で通勤できる、名古屋の近郊
  • 保育園・小学校までの距離
  • 駅までの距離と、スーパーなど買い物の場所
  • 古い住宅街より、同世代の方がいる新しいところ
  • 月々無理のない返済金額で建てること
  • 子どもが外で活発に遊べて、道路に飛び出す心配のない場所
  • 木のぬくもりを感じる室内
  • 人目を気にせず喫煙できる、コストをかけすぎないスペース

ニッケンホームへは、ホームページからお問い合わせをいただきました。土地から家づくりをしたい、というご相談でした。土地から購入ということだったので、最初の面談で青山がまずお話ししたのは、実際にどんな暮らしをしたいのか、ということでした。

元気なお子さんが2人いるので、なるべく楽しく、外で活発に遊べるスペースが欲しい。ただ、結構元気な子たちなので、道路に飛び出して人に迷惑をかけたり、事故に遭ったりするのも、逆に心配でした。そこは何か対策したい。ご主人からは、人目を気にせずに喫煙できるスペースが欲しい、という話もありました。最近は世間の目も厳しいので、そこだけにあまりコストをかけずに何かできたらいいな、というご要望でした。

最初の面談のあと、土地探しからニッケンホームに任せていただくことになりました。青山はまず、月々無理のない返済金額をシミュレーションしました。この中で、土地と建物をこれぐらいの予算配分でいきましょう。そう決めてから、土地探しを始めています。

住宅会社は、ほかにもいくつか検討していました。決め手になったのは、今の土地に合わせてニッケンホームが提案した斬新なプランが、自分たちの暮らしにもマッチしていたこと。青山は、そう聞いています。斬新だったのは、2階にLDKと洗濯室を置き、庭にあたる部分を2階のアウトドアリビングに持ってくる間取りです。そのうえで青山は、1階の動線もしっかり聞き取りをして、ご家族の普段の日常生活に合わせた形にしていました。

01 WHY ICHINOMIYA

一宮は、相談の中で候補になった。

最初から一宮で、と決めていたわけではありません。名古屋の近郊で、広く探していました。ご主人のご実家は岐阜、奥様のご実家は名古屋。その中間ぐらいがいい、というお話でした。中間にあるほかの市町村も、北名古屋や清須のあたりなど、いろいろ案に出ました。ただ、水害のリスクが気になったり、土地の価格が高かったりして、外れていきました。そのうえで青山は、利便性や土地の価格、広さ、駅までの距離のバランスを見ると、一宮がいちばんいいんじゃないか、とお話ししました。岐阜が地元のご主人にとって、一宮はなじみもある場所です。ご主人も、いいんじゃないか、という反応でした。

一宮は保育園もかなり充実していて、そこも安心された要因のひとつだったと、青山は見ています。実家との距離もそれなりに気にしていましたが、愛知県の尾張エリアであれば、問題のない距離感でした。

一宮市内の土地を何か所か、一緒に見て回りました。ほかの土地は、価格に対して地形がよくなかったり、前面道路が狭かったり。その中で決まったのが、一宮市今伊勢町の、5区画ほどの分譲地のひとつです。いちばん整った形の土地で、これから造成してきれいにしていくところ。南道路です。広さも価格も、予算にちょうど合っていました。近くにはスーパーがあり、周りも新築が建っていく分譲の区画なので、同世代の方たちが来るだろう。家族の感覚が近い方のほうが、人付き合いもしやすいんじゃないか。それも、この土地に決めた理由でした。ご家族の心配をまとめて払拭できるような土地でした。この土地を提案してからは、ほかの土地に気持ちが変わることはありませんでした。

ただ、気をつけたいこともありました。きれいな区画ではあるものの、面積はそこまで大きくありません。そして周りの家は、これから建っていくところでした。周囲との目線や、配置がどうなるのかは、少し見えない。ご家族も、どういう人が来るのかは多少気にしていました。ただ逆に言えば、きれいな家がおそらく建つだろう。古い集落の中に建てるよりはいいかな、という受け止め方でした。青山は、「そういったところも考慮しながら、間取りを考えていきましょう」とお話ししました。

敷地の条件の説明図。5区画ほどの分譲地のひとつで南道路。両隣はこれから建つ区画
整った区画。でも、周りはこれから建つ。

02 CHECKING THE LAND

地図で見て、周りの方にも聞いた。

土地のリスクは、ご提案する前に青山がハザードマップを調べて、ご家族とお話ししました。土地自体がグループ会社のセンター住建の取り扱い物件だったので、そちらでも事前に調査や聞き取りをしていました。今伊勢町には、ハザードマップ上で浸水の想定があります。地震については、建物のほうでしっかり対策していきましょう、とお伝えしました。浸水は、ご家族も多少気にしていました。ただ、ご家族は、名古屋市のほうが浸水の実績があったので、それに比べれば今回の一宮の場所はまだ安心かな、と受け止めていました。

周辺の方への聞き取りでは、ハザードマップ上は浸水の想定があっても、普段の雨で浸かるという話は出てきませんでした。

浸水への備えとして、家のつくりを特別に変えたことはありません。ただ、建物の高さは、低くしすぎないようにしました。上げすぎると、今度は暮らしづらくなる。ハザードマップの想定と、周りの方の話をふまえて、バランスのいいところで行きましょう、とご提案しました。

土地について確かめたことの説明図。ハザードマップを確かめてご家族に伝える、周辺の方に話を聞く、高さは低くしすぎず上げすぎない
地図で確かめて、周りの方にも聞いて、高さを決めました。

03 LIVING UPSTAIRS

隣がまだ建っていないから、2階へ。

打ち合わせで見えてきたのは、なるべく子どもとの時間を大切にしたい、という思いでした。子どもの遊ぶ場所や勉強する場所を、家事や自分たちの生活サイクルの中に取り入れたい。そして、できれば外遊びもさせたい。ここをかなり重要視していました。

ただ、敷地はそこまで大きくなく、周りからの目線もかなり気になります。ふつうの庭は、敷地の制限から諦めることになりました。

プランは、いくつかご提案しました。1階にリビングを置いて庭もつくる案。寝室だけを2階に上げる案。1階リビングの案は、すごくわかりやすくて、生活のイメージもしやすいものでした。2階リビングにするかどうかは、提案の段階で迷った場面もありました。ご夫婦お二人とも気にしていたのは、階段を使わないといけないことで、子どもが部屋に閉じこもってしまうんじゃないか、ということでした。

それでも、隣はまだ建っていません。長い目で見て、なるべく後から後悔しないほうがいい。最初から、隣にどんな家が建っても、明るくて開放的なリビングにしておきたい。家族が個室で過ごすより、リビングで過ごす時間が多い暮らしにしたい。それに敷地には限りがあり、そこまで大きな建物は建てられません。その中でも、子どもたちが走り回ったりできる空間を、LDKの中に取れたらいい。じゃあ、広く取れるのは2階だよね。

ご要望を伺っていくと、周りからの目線と明るさの優先度が高い。それなら、1階リビングにして外に庭をつくるより、2階にリビングとアウトドアリビングをつくったほうが、結果的に明るいし、目線もずらせるし、遮れる。そうして、2階リビングに決めました。

そこから青山は、どういう間取り、どういう動線なら暮らしやすいかを、一つずつご提案していきました。子どもが部屋に閉じこもる心配には、まず間取りで答えました。子ども部屋に行く手前のところに階段を設けて、自然とスムーズに2階へ行く形に。子ども部屋もシンプルなつくりにして、居心地はやっぱり2階のLDKのほうがいいよね、と思えるようにし、窓でも工夫しました。そのうえで青山は、ご夫婦にこうお話ししました。建築的にカバーできる部分は、こちらでしっかり整えておきます。あとは、2階にいるほうが心地いい、楽しい、と自然と思えるような空気感をつくるのは、お二人の役目です。そこを意識して生活してください、と。図面とパースを見せながらご提案していたとき、これだったら暮らしやすいよね、という奥様の言葉で、いまの間取りに決まりました。

1階リビングの案と2階リビングの案の比較図
隣に何が建っても明るいのは、どちらか。

庭の代わりにつくったのが、2階のアウトドアリビングです。2階なら、子どもたちが道路に飛び出す心配をせずに外遊びができます。ご主人が人目を気にせず喫煙できる場所にもなりました。バルコニーを広めに取って、リビングとつなげました。2階にもう1部屋置く案は、リビングが狭くなるので、部屋は1階に下ろしています。アウトドアリビングをもっと広く取る案もありましたが、室内の空間もしっかり広く取りたい、ということで、8帖のいまの広さになりました。

LDK
アウトドアリビングとつながる、2階のLDK。

04 ONE ROOM, GENTLY DIVIDED

ひとつの空間を、段差でゆるく分ける。

2階のLDKは、この家でいちばん暮らしに効いている場所です。キッチンは、グラフテクトの、かなりオープンなセパレートタイプ。食事のときは、家族が一体になって話したり過ごしたりできます。

キッチン
オープンなセパレートタイプのキッチン。

リビングとダイニングキッチンの間には、あえて段差をつけました。空間としてはひとつのまま、ゆるく仕切れているので、お互いがくつろぎたいところでくつろげます。その間に置いたのが、子どものスタディコーナーです。子どもが勉強したり遊んだりしているところを見ながら、家事ができます。

スタディコーナー
リビングとダイニングキッチンの間の、スタディコーナー。

リビングからも、ダイニングキッチンからも、アウトドアリビングに接しています。壁は少ないけれど、狭さは感じない。ゆるく仕切れている形を、ご家族には非常に喜んでいただいています。

お金をかけたのは、室内の無垢材です。無垢材を多めに使って、木の風合いをつくりたい。キッチンとリビングのまわりにも、コストをかけました。その分、子ども部屋は本当に「空間だけ」という形で、無駄を削ぎ落としています。9畳の子ども部屋は、将来4.5畳ずつの2部屋に分けられる形です。窓の量もあまり多く取らず、換気と採光をしっかり計算したうえで、必要最低限にしました。

無垢材の感じ(リビング)
無垢材を多めに使った、リビング。

05 DOWNSTAIRS AND UPSTAIRS

帰ったら1階で、洗濯は2階で。

リビングが2階にあるので、1階の日常の動線には、かなり気を使いました。帰ってきたら荷物を置いて、手洗い、うがいをして。その流れが、なるべくスムーズにいくように。お風呂や水回りは1階です。着替えや日用品が1階と2階に分かれると、煩雑になります。1階で必要なものは1階に収納できる形を、打ち合わせで話し合いながら間取りにしていきました。

一方で、バルコニーは2階に広く取っています。洗濯物は2階でできたほうが、家事は楽です。そこで、2階に洗濯室を広めに取り、洗濯機も2階の洗濯室に置いています。居住スペースの中心がある2階に合わせて、必要なものを配置していった形です。

1階と2階の使い分けの説明図
暮らしの中心は2階に。帰ってからの動きは1階で済ませる。
洗濯室
2階に広めに取った、洗濯室。

周りからの目線も、かなり気にされていました。玄関は、正面に壁を立ち上げて、出入りする場所が直接見えないようにしています。窓は、1階は極力減らし、2階はアウトドアリビングのところから明かりを取る。外からは、窓も含めて、ほとんど中が見えない形にこだわりました。

2階リビングなので、1階に比べれば、荷物を運ぶのは当然大変になります。そこは、あらかじめお伝えしました。そのうえで、バリアフリーの考え方として、毎日の生活で体を動かす、階段を上り下りするというのもひとつの考え方です、とお話しし、ご納得いただきました。窓を減らしたことについても、換気の流れは計算しているので、生活していて不快になることはない、とお話ししています。

06 LIFE AFTER MOVING IN

休日は、家で過ごす時間が増えた。

1年点検でうかがったとき、住み始めてからの話を聞きました。休日に家で一緒に遊んで過ごす時間が、すごく増えた。奥様は、アウトドアリビングで友達とお茶をしたり、友人を招いて、ちょっとしたバーベキューのようなこともしていました。お子さんたちも一緒にアウトドアリビングでバーベキューをしたり、夏はプールを置いたりしていると聞いています。外にいたい人は外に、中にいたい人は中に。それぞれの居場所ができるので、友人を呼ぶのがとても楽しい時間になった。ご主人は、アウトドアリビングでよく喫煙している、とおっしゃっていました。

点検のとき、長女さんはその場にいませんでしたが、スタディコーナーでお絵かきをしたり、ソファでくつろいだりしていることが多いと、お話の中で聞きました。長男さんは、ダイニングに行ったりリビングに行ったり、家の中を駆け回っていました。

2階なので、隣の家に日差しを遮られることもなく、冬は非常に暖かい。夏も、性能が非常に高く、涼しいと言っていただいています。光熱費は、アパートのころより高くなると思っていたものの、そこまで負担は増えませんでした。太陽光発電も載せていて、非常に喜んでいただいています。太陽光の量は、ご家族の人数や、家にいる時間帯などの暮らし方を考えながら調整してご提案しました。

住んでから出てきた話もあります。ペットを飼いたいな、という話です。ただ、床を無垢材にしたので、いまのところペットは保留になっています。事前に少し、材質も考えてもよかったかな。ご家族は、そうおっしゃっていました。青山は、そこまで大きな問題ではないと考えています。

アパートでは外で遊ばせにくく、家の中で走り回れば上下階に気をつかった暮らし。名古屋の近郊で探す中で、相談から候補になった一宮。周りがまだ建っていない土地だからこそ、リビングを2階に上げて、庭の代わりにアウトドアリビングを。ひとつの空間を段差でゆるく分けて、子どもを見ながら家事ができるLDKに。いまは長男さんがダイニングとリビングを駆け回り、友人を招いてお茶をしたり、バーベキューをしたりする家になりました。浸水の想定はハザードマップと周りの方の話で確かめ、お金は無垢材とキッチンまわりにかけて、子ども部屋は「空間だけ」に。B様邸には、子どもとの時間を大切にしたいという思いから生まれた判断が、つながっています。

設計担当・青山 享平から

2階リビングで、キッチンダイニングとリビングに段差をつけるなど、結構個性的な間取りになりました。それでも、お客様の暮らしに非常にマッチした、いい間取りで、いい家が提案できたのかな、と青山は振り返ります。たとえば、帰ってきたら靴を脱いで手を洗い、横のファミリークローゼットで着替えを取って、すぐお風呂に入れる動線。意外と暮らしの動線に合っている、という感じでした。
「家で過ごす時間が、いちばん幸せな家づくりでした。2階リビングという、少し個性的な形です。それに合わせて、外観のデザインなどはなるべく普遍的で飽きのこない形に仕上げ、木のぬくもりを感じられるつくりにしました。」

今伊勢町2階建てモデルハウスの室内

VISIT A MODEL HOUSE

写真で気になった暮らしを、今度は、実際の住まいで。

広さの感じ方、家事の動線、素材の手ざわり。
ニッケンホームのモデルハウスで、確かめてみませんか。