家族構成で視点を変える 在宅ワークの間取り
新型コロナウイルス感染拡大により、世の中に急激な変化が起こり、仕事に関しても在宅ワークが普及して現在に至っています。各家庭で家族構成が違う中での在宅ワーク。これから新築を建てる場合、間取りはどのようにすれば良いのでしょうか。
在宅ワークがしやすくなる間取りのポイント
①仕事に集中できる環境づくり
3~4畳ほどでも、書斎などの個室を作るスペースが確保できれば一番です。子どもやペットに仕事を遮られないような部屋が一部屋でもあればいうことはありませんが、無理な場合は、他の間取りと兼用することでスペースを作り出すことがおすすめです。
例えば、「寝室内」「リビング内」「ロフト・スキップフロア内」「収納内」に机と椅子を用意し、ロールスクリーンやパーテーションなどで仕切りをつけ、個室に区切ってしまう方法があります。場合によっては、階段下も有効なスペースとなるでしょう。
家族それぞれが在宅ワークになることもあるのなら、個々が集中できるスペースを考えることをおすすめします。
②オンとオフを切り替える工夫
個室のドアで区切ることができない場合は、なかなかオンとオフの切り替えが難しくなるかもしれませんが、自宅だからこそ、オンとオフを切り替える環境は重要になります。
くつろぎのリビングと分けること、ベランダ・テラスを利用すること、光や風で部屋の空気を入れ替えること、仕事終わりに物を片づけられる棚を設けること、家具や可動式間仕切りで区切りをつけることなど、空間を移動したり、空間に変化を取り入れることで、気分転換が可能になるでしょう。
③ワークスペースとしての快適さを整備
ワークスペースとして利用するには、コンセントの配置や数を考えたり、書類を置くスペースや仕切りを設置したり、場合によっては防音対策まですることが大事になります。通信環境を整える必要も出てきます。
さらに、いくら家族といっても、会社との連絡内容やデータがすぐわかってしまうようなことを避けるための対策はしておきたいものです。重要なデータなどが入ったパソコンや書類などは、本人にしかわからないよう、収納する場所を検討しましょう。
夫婦2人の場合の在宅ワークの間取り
子どもがいてもいなくても、夫婦で在宅ワークをする場合、それぞれに個室を作ることが理想ですが、広さの問題で確保が難しい時は、どちらか一方のワークスペースを家族共有スペースと兼ねることや、階を変えることなどの方法がおすすめです。お互いにストレスなく、ライフスタイルに影響を与えない空間を作ることが可能になります。
例えば、寝室、家事室、ユーティリティスペース、ファミリークローゼットなどの間取りとの兼用はいかがでしょうか。
子育て中の場合の在宅ワークの間取り
子育て中といっても、子どもの年齢によって、在宅ワークを考える間取りは違ってきます。目を離せない小さな子どもがいる場合は、リビングに在宅ワークスペースを一時的に設けることがおすすめです。夫婦のどちらかが子どもを見ていられる環境にあれば、個室や半個室で完全に在宅ワークスペースを独立させても良いでしょう。
子どもが学校に上るような年齢になれば、個室で在宅ワークを行っても支障が出ることは少なくなるでしょうから、仕事集中モードを徐々に作っていきたいものです。
一番問題となるのは、WEB会議の場合です。個室でない場合、いくら仕切りをつけたとしても、子どもが入ってきてしまう場合は、子どもの面倒を見てもらう方法を家族間で考えるといった、間取り以外の検討をしたほうが、具体的な解決策になるかもしれません。
高齢者と同居する場合の在宅ワークの間取り
介護が必要な高齢者との同居は、部分共用型や完全同居型の二世帯住宅が考えられます。いつも高齢者の近くで様子を見られる場所、例えば、トイレや浴室の近くに在宅ワークスペースを設けると良いでしょう。
介護が必要な高齢者となると、外部の介護関係者の出入りも考えなければなりません。在宅ワーク時の集中力維持やセキュリティ面へより注力すると、最初からドアのある個室を確保することがベストです。介護中に発生する人の声や機器の音の問題などもクリアすることが可能になります。
まとめ
結果として個室があれば、どんな家族構成であっても、在宅ワークへの最適な対応ができることは確かですが、なかなか難しい場合もあり、工夫を重ねた『個室風』の検討をしてみると良いでしょう。
パーツや部材の活用として、ロールスクリーン、パーテーション、防音性能の高い壁や床材などを取り入れながら、一定のスペースを作ることをおすすめします。