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一宮市で注文住宅を建てる費用|エリアで2.8倍違う土地代と建物の決め方

COLUMN

一宮市の家づくり

一宮で注文住宅を調べ始めると、最初に出てくるのが「坪単価はいくら」という数字です。ところがその数字を見ても、自分がいくら用意すればいいのかは分からないままではないでしょうか。

検索して並ぶのは、会社を順位づけしたランキングか、市の平均坪単価をひとつ示した相場の記事がほとんどです。知りたいのはそこではなく、自分の条件だといくらになって、何を諦めることになるのか、のはずです。

前提として、一宮市には知っておきたい特徴が2つあります。ひとつは、市内で土地の値段が大きく違うこと。駅の周辺で坪42.8万円、市の南寄りでは坪15.1万円と、同じ市内で約2.8倍の開きがあります。もうひとつは、市の面積の66.6%が市街化調整区域だということです。つまり「一宮の相場はいくら」という問いにひとつの数字で答えること自体に無理があり、さらに安く見えた土地に家を建てられるとは限りません。

私たちニッケンホームは、1979年の創業から45年以上、この一宮で3,800棟以上の家を建ててきました。同じ市内でも土地の条件がこれだけ違う街で家づくりを続けてきたからこそ、費用は「総額いくら」ではなく、土地・建物・住んでからの35年という3つに分けて考えるものだと思っています。この記事では、その3つの決め方を書きます。読み終える頃には、ご自身の候補エリアの坪単価から土地代を引いて、建物にいくら残せるかを計算できるようになっているはずです。

費用は「総額いくら」ではなく、土地・建物・35年に分けると決まる

注文住宅の費用を調べるとき、多くの方が最初に「総額でいくらか」を知ろうとします。ただ、総額という数字は、土地の条件と建物の仕様が決まって初めて出てくるものです。順番が逆になっているために、いつまでも自分の金額が見えてきません。

そこで、費用を次の3つに分けます。

費用を3つに分ける

① 土地どのエリアを選ぶか
そこに建てられるか
② 建物断熱グレード
工法
③ 35年光熱費
設備

総額は、この3つが決まってはじめて出てくる数字です

分けるもの 何で決まるか この記事の該当箇所
土地にかける額 どのエリアを選ぶか/そこに建てられるか 2章・3章・4章
建物にかける額 どの断熱グレード・工法にするか 5章・6章・7章
住んでからの35年 断熱性能と設備の選び方 8章

※本記事の内容をもとに作成した整理表です。

この分け方が必要なのは、一宮では1つ目の「土地にかける額」の幅がとても大きいからです。市の平均坪単価を見て予算を組むと、実際に候補地が見つかったときに数百万円単位でずれます。

まず、その土地から見ていきます。

土地予算はエリアで約2.8倍変わる|萩原15.1万円・尾張一宮42.8万円

市全体の平均は坪24.1万円(ただしこの数字では判断できない)

一宮市の坪単価を調べると、国土交通省の公示地価などを基にした市平均の集計値で坪24.1万円という数字が出てきます(2026年・前年比+4.8%)。土地探しを始めたとき、最初に目にする数字はこれだという方が多いと思います。

ただし、この24.1万円は市内全域をならした平均です。一宮市は駅前の商業エリアから農地の残る郊外まで幅が広いため、この1つの数字だけで「自分が検討しているエリアがいくらになるか」を判断することはできません。候補エリアごとの実際の水準を見る必要があります。

駅で見ると15.1万円〜42.8万円の開きがある

駅周辺の坪単価で比べると、最も高いのが尾張一宮駅周辺で坪42.8万円、最も低いのが萩原駅周辺で坪15.1万円です。同じ一宮市内でも、エリアが変わると坪単価が約2.8倍変わります。

つまり、「駅近だから高い」「郊外だから安い」という単純な話ではなく、市内のどのエリアを候補にするかによって、土地予算の前提そのものが変わってくるということです。エリアを決める前に、この幅があることを知っておくと、予算の組み方が変わります。

住宅地の最高値と、農地が混じる周辺部

住宅地に絞って見ると、栄地区が坪111万円相当で市内の最高値です。中心市街地に近く、利便性の高さがそのまま価格に反映されています。

一方、農地が混在する周辺部は坪12.8万円程度の価格帯です。同じ一宮市内でも、市街地に近いエリアか、農地が残るエリアかによって、土地代は大きく変わります。中心部の利便性を取るか、郊外で土地に予算をかけないかは、この時点で決まってくる選択です。

40坪を買うとエリアでいくら違うか

ここまでの坪単価を、40坪の土地に当てはめて試算すると、次のようになります。

坪単価40坪の土地代
尾張一宮駅の周辺1,712万円
市全体の平均964万円
萩原駅の周辺604万円

同じ一宮市内でも、土地代は約2.8倍・1,100万円ちがいます

エリア 坪単価 40坪の土地代(本記事の試算)
尾張一宮駅の周辺 42.8万円 1,712万円
一宮市全体の平均 24.1万円 964万円
萩原駅の周辺 15.1万円 604万円

※坪単価は国土交通省の公示地価などを基にした市平均の集計値です。出典:一宮市|「地価」、土地代データ|「一宮市の土地価格相場・公示地価・基準地価マップ・坪単価」、国土交通省|「不動産情報ライブラリ」

※40坪の土地代は、上記の坪単価に40を掛けた本記事の試算です。実際の取引価格とは異なります。

同じ40坪の土地でも、どのエリアで探すかによって、土地代だけで1,100万円ほどの開きが出ます。建物や外構にどれだけ予算を残せるかは、エリアを決める段階でほぼ決まってしまうということです。

ただし、安いエリアをそのまま選んでよいかというと、その前に確かめることが2つあります。ひとつは、そこに家を建てられるかどうかです。

価格の前に確認する2つ|市街化調整区域66.6%と、水

一宮で土地を探すとき、坪単価より先に見ておきたいことが2つあります。そこに建てられるか(区域)と、水がどう流れるか(地形)です。どちらも、あとから建物の予算を動かす要因になります。

市街化調整区域が面積の66.6%を占める

一宮市は、都市計画区域11,382ヘクタールのうち、市街化区域が3,802ヘクタール、市街化調整区域が7,580ヘクタールです。割合にすると、市街化調整区域が66.6%を占めます。

一宮市の都市計画区域 11,382ha の内訳

市街化区域 33.4%
市街化調整区域 66.6%
3,802ha7,580ha

面積で見ると、市街化調整区域のほうが倍近く広い

区分 面積 割合
都市計画区域 全体 11,382ha 100.0%
市街化区域 3,802ha 33.4%
市街化調整区域 7,580ha 66.6%

※出典:一宮市|「1.市街化区域及び市街化調整区域」

市街化区域は、街をつくっていく区域です。これに対して市街化調整区域は、市街化をおさえる区域として線引きされています。一宮市では、面積で見ると後者のほうが倍近く広いということになります。

この線引きは昭和45年に決まったもので、その後の見直しで市街化区域に編入された土地はありますが、当初の3,750ヘクタールから現在の3,802ヘクタールまで、50年以上かけて約52ヘクタールしか増えていません。市街化区域が大きく広がる動きにはなっていない、という前提で土地を探すことになります。

「安い土地」の理由が、ここにあることがある

土地を探していて、周辺より明らかに価格の低い土地に出会うことがあります。その理由のひとつが、この区域の違いです。

市街化調整区域は、市街化をおさえる区域なので、原則として建物を建てることが制限されています。そのぶん土地の価格は低くなりますが、「価格が安い土地を見つけた」と思って話を進めると、そもそも希望する家が建てられないことがあります。

ただし、建てられないと決まっているわけではありません。一宮市には市街化調整区域内地区計画という制度があり、条件を満たせば住宅を建てられる地区が定められています。また、都市計画法に基づく開発許可の仕組みもあります。調整区域だから諦める、ではなく、その土地がどの条件にあてはまるかを確認するというのが正しい順番です。

確認の入口は次のとおりです。

もうひとつが、水です。

一宮市は平坦で、雨水が溜まりやすい地形

一宮市は木曽川に沿ったほぼ平坦な土地に広がっています。高低差が小さいため、雨が降っても水が低い場所へ流れ切らず、地表にとどまりやすい地形です。高低差が小さい地形であることは、土地を選ぶときの前提として知っておきたい点です。

ハザードマップは4種類ある

一宮市は水防法(平成27年度改正)に基づき、想定最大規模の降雨に対応したハザードマップを作成・公開しています。最新版は令和3年3月25日発行で、2000年の東海豪雨相当の降雨を想定した内容です。

主に確認するのは次の4種類です。

  • 洪水ハザードマップ(対象河川は木曽川、日光川、五条川、新川、青木川、御夫鬼川・冷田川など)
  • 高潮ハザードマップ(愛知県が想定した最大規模の高潮シナリオに基づき、浸水想定区域のある地区が12地区あります)
  • 液状化危険度マップ
  • 避難所マップ

確認方法は2つあります。一宮市公式サイトからPDF版をダウンロードする方法と、「138マップ」でインタラクティブに確認する方法です。紙版がほしい場合は、市役所本庁舎8階治水課、本庁舎4階危機管理課、尾西庁舎1階窓口課、木曽川庁舎1階総務窓口課、各出張所で配布しています。

水のリスクは「土地を外す理由」ではなく「建物の予算が動く理由」

ハザードマップで色がついている土地を見ると、「この土地はやめておこう」と考えたくなります。ですが、色がついている土地イコール候補から外す土地、ではありません。

浸水や液状化のリスクがある土地は、地盤改良や基礎の仕様を変えることで対応するのが一般的な考え方です。つまり水のリスクは、「建てられない理由」ではなく、「土地の価格とは別に、建物側の仕様と予算が動く理由」として現れます。坪単価の安さだけで土地を決めてしまうと、契約したあとに建物側の仕様が変わり、当初思っていた総額と差が出ることがあります。土地と建物の予算は、別々に見るのではなく、セットで考える必要があります。

確認する順番

確認する順番

  1. 坪単価 予算に収まるエリアの範囲
  2. 区域 市街化区域か調整区域か
  3. ハザードマップ 洪水・高潮・液状化
  4. 地盤 建物側で必要な対応
  5. 予算の組み直し 建物に残せる本当の額

価格で仮決めせず、2と3を先に置くのがポイントです

やること 何が分かるか
1 希望エリアの坪単価を確認する 価格帯の候補が絞れる
2 市街化区域か調整区域かを確認する そこに希望の家を建てられるか
3 候補地をハザードマップで確認する 洪水・高潮・液状化のリスクの有無
4 リスクがある場合は地盤条件を確認する 建物側でどんな対応が必要になりそうか
5 土地と建物の予算配分を組み直す 総額でいくらになりそうか

※出典:一宮市|「洪水・内水ハザードマップ」、「洪水に備えて」

価格だけで仮決めせず、ここまで見てから絞り込むと、あとで予算が動く事態を避けられます。次の章からは建物の話です。

同じような家でも価格が違う|その差はどこから生まれるのか

見積もりを何社か並べると、同じような延床面積・同じような外観なのに、金額に差が出ることがあります。この差は「どちらの会社が優れているか」ではなく、「価格をどう組み立てているか」の違いから生まれています。ここでは、その組み立て方の違いを見ていきます。

設計・施工・販売が分かれていると手数料が重なる

家づくりには、設計・施工・販売という工程があります。この工程をすべて自社で完結できる会社もあれば、設計は設計事務所、施工は工務店、販売は別会社というように、工程ごとに違う会社が担当する場合もあります。

工程が会社をまたぐと、そのたびに各社の手数料が発生し、住宅価格に積み上がっていきます。一方、設計から施工までを自社で一貫して行っている場合は、この間の手数料は発生しません。見積もりの内訳を見るときは、「どこからどこまでを1社で担当しているか」を確認すると、価格差の理由が見えやすくなります。

運営体制の違いが価格に乗る

もうひとつの差は、会社の運営体制です。営業担当者を多く抱える体制では、その人件費も住宅価格に含まれています。展示場の数や広告費、営業のフォロー人数が多いほど、それを支える固定費がかかるためです。

反対に、少人数で運営している会社では、この固定費が小さくなります。どちらが良い・悪いという話ではなく、「その会社がどこにコストをかけているか」が価格に反映されている、という理解が大切です。

「安い見積もり」に含まれていないもの

見落としやすいのが、「含まれていない費用」です。次のようなものは、会社によって本体価格に含まれていたり、別計上になっていたりします。

  • 付帯工事(給排水・外構・地盤改良)が別枠になっている
  • 登記費用・火災保険・住宅ローンの手数料といった諸費用の扱いが会社ごとに違う

見積書を見るときは、「本体価格」だけでなく、付帯工事や諸費用の項目が入っているかどうかを確認してください。ここが抜けていると、後から追加費用として出てくることがあります。

見積もりを比べるときの5つの確認項目

金額だけを横に並べても、何が違うのかは分かりません。次の5点を確認すると、見積もりの中身を比べやすくなります。

見積もりで確認する5項目

  • 設計・施工・販売がどこまで1社か
  • 付帯工事が本体価格に含まれているか
  • 諸費用の扱い(登記・火災保険・ローン手数料)
  • 断熱・気密の数値が書かれているか
  • 耐震等級は「取得」か「相当」か
確認したいこと なぜ見るのか
設計・施工・販売がどこまで1社か 工程が分かれるほど手数料が重なりやすいため
付帯工事が本体価格に含まれているか 別計上だと後から追加費用が発生しやすいため
諸費用(登記・火災保険・ローン手数料)の扱い 会社によって見積もりへの含め方が違うため
断熱・気密の数値が書かれているか 数値がないと性能そのものを比べられないため
耐震等級は「取得」か「相当」か 認定を取得しているかどうかで意味が変わるため

※本記事の内容をもとに作成した整理表です。

実際に比べた方が、何を見たか

ニッケンホームで建てられた方に、決め手をうかがっています。複数社を比べたうえでの言葉なので、比べ方そのものの参考になります。

いろんなハウスメーカー・工務店を見て回った結果、営業さんが一番親切だった。建築方法がツーバイフォーと外壁がヘーベルである所。標準でソーラーが搭載されている。全てにおいてコストパフォーマンスが良かった。

── 一宮市・M様

有名ハウスメーカーから工務店まで約20社聞いてまわり、断熱、耐震、価格、アフターメンテナンスなどいくつもの角度から見てランキングをつくりました。

── 扶桑町・O様

良いところはもちろん、悪いところもちゃんと理由付きで話してくれるし信用できました。

── 岐阜県・M様

※出典:ニッケンホーム|「お客様の声」

3人に共通しているのは、1社の説明だけで決めていないことと、価格・性能・アフターを分けて見ていることです。断熱や耐震を「角度のひとつ」として数えている点も、ここまで書いてきた比べ方と重なります。

金額の差の理由が見えたら、次は性能の差です。次の章では、坪単価ではなく、断熱性能を示すUA値とグレードで建物を比べる方法を見ていきます。

建物は坪単価ではなく、UA値と断熱グレードで並べて比べる

坪単価では性能を比べられない理由

見積もりを取ると、まず目に入るのが坪単価です。ですが坪単価は「1坪あたりいくらか」を示す金額の物差しであって、断熱性能や省エネ性能を示す数値ではありません。同じ坪単価でも、使われている断熱材の量や窓の性能によって、住み始めてからの快適さは大きく変わります。価格差の理由を知るには、金額とは別に、性能そのものを表す共通の数値で比べる必要があります。その数値が「UA値」です。

UA値とは何か

UA値とは、床・外壁・屋根・開口部(窓や玄関ドアなど)を通して、室内の熱がどのくらい外へ逃げやすいかを数値化したもので、正式には「外皮平均熱貫流率」といいます。冬は室内の暖かい空気が壁や窓から外に流れ出し、夏は外の熱が室内に入り込みます。この出入りのしやすさを、家全体の壁・屋根・窓などの面積で平均して1つの数値にしたものがUA値です。数値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性・省エネ性が高いことを表します。見積書にこの数値が書かれているかどうかで、比較できる見積もりかどうかが決まります。

HEAT20の3段階と、それぞれのUA値

国が定める住宅の省エネ基準とは別に、より先進的な住環境を目指して策定された指標に「HEAT20」があります。国の基準は年々見直されて向上していますが、世界の基準と比べるとまだ低い水準にあるという指摘があり、HEAT20はその先を見据えた3段階の目安(G1・G2・G3)として使われています。

グレードUA値(小さいほど逃げにくい)
smart HEAT20 G10.56
prime HEAT20 G20.40
grand HEAT20 G30.26

同じ「高断熱」でも、0.56と0.26では熱の逃げ方が変わります

グレード 断熱の水準 UA値
smart HEAT20 G1相当 0.56 W/㎡K
prime HEAT20 G2相当 0.40 W/㎡K
grand HEAT20 G3相当 0.26 W/㎡K

※数値は仕様・間取りにより異なります。出典:ニッケンホーム|「3つのグレードと標準仕様」

東海エリアでは、primeグレード(HEAT20 G2相当・UA値0.40 W/㎡K)がコストパフォーマンスに優れた仕様として位置づけられています。なお、断熱性・気密性の数値は仕様や間取りによって変わるため、同じグレード名でも建てる家ごとに実際の数値を確認することが前提になります。

3つのグレードが、実際に建つとどうなるか

表の数値だけでは実感しにくいので、それぞれの水準で実際に建った家を並べます。いずれも省エネ性能の測定値と、年間の光熱費が出ています。

カタログの基準値が、実際に建った3棟でそのまま並びます

grand相当

UA値 0.26

岐阜県神戸町Y様邸
平屋 27.05坪

26.62万円 → 14.64万円

−45%

prime相当

UA値 0.42

一宮市K様邸
2階建て 37.10坪

32.20万円 → 18.68万円

−42%

smart相当

UA値 0.56

一宮市T様邸
2階建て 33.12坪

28.07万円 → 18.53万円

−34%

金額そのものより、省エネ基準の家からどれだけ下がったかの率で見ると性能差が見えます

グレード 実際に建った家 UA値 年間の光熱費
grand相当 岐阜県神戸町Y様邸(平屋27.05坪) 0.26 26.62万円 → 14.64万円
prime相当 一宮市K様邸(2階建て37.10坪) 0.42 32.20万円 → 18.68万円
smart相当 一宮市T様邸(2階建て33.12坪) 0.56 28.07万円 → 18.53万円

※光熱費は「国の省エネ基準を満たす家 → この住宅」。電気27円/kWh・ガス155円/m³で計算、基本料金は含まず、再生可能エネルギー分を除いた比較です。出典:ニッケンホーム|「シンプルモダンでハイスペックな家」、「全館冷暖房とパッシブデザインの家」、「ガルバ×木目調ZEHの家」

いちばん上のY様邸だけは、一宮市ではなく岐阜県の神戸町で建てた家です。UA値0.26という水準の家が一宮市内にはまだないため、参考として並べています。「手の届く範囲で最大限高性能な住宅を」という希望から、標準仕様を大きく上回る断熱仕様と窓の選定を行った結果、UA値0.26という数値になりました。気候の条件は一宮市と大きくは変わらない地域です。

ここで正直に書いておきたいことがあります。UA値が小さいほど光熱費の金額そのものが下がる、という単純な関係ではありません。 表を見ると、UA値0.42のK様邸(18.68万円)とUA値0.56のT様邸(18.53万円)で、金額はほとんど変わりません。K様邸のほうが延床面積が広いぶん、使うエネルギーの総量が増えるためです。

比べるときは、金額そのものではなく「省エネ基準の家からどれだけ下がったか」の率で見ると、性能の差が見えやすくなります。この3棟では、45%・42%・34%と並びます。

数値が書面で残っているかを確認する

UA値は見積もりの段階で口頭だけで伝えられることも多く、その場合はあとから確認する手段がありません。建物の省エネ性能については、第三者が評価して表示する制度があり、評価書を取得すればその家のUA値が書面として残ります。見積もりを比べるときは、次のように聞いてみてください。

  • 「この見積もりのUA値はいくつですか」
  • 「HEAT20でいうとG1・G2・G3のどの水準にあたりますか」
  • 「第三者機関による省エネ性能の評価書は発行してもらえますか」

数値と書面の両方がそろって初めて、坪単価だけでは見えなかった性能差を比べられるようになります。断熱の話が終わったところで、次は地震への強さに移ります。

地震への強さは工法で変わる|面で受けるか、一点に集まるか

2つの工法で、力の伝わり方が違う

木造住宅の工法には、大きく分けてツーバイフォー工法と在来軸組工法があります。

ツーバイフォー工法は、正式には木造枠組壁工法と呼ばれます。床・壁・屋根が一体になったモノコック構造で建物をつくり、地震の揺れが加わったときは、その力を建物全体の6面体で受け止めて分散させる仕組みです。力が一部分に集中しにくいことが特徴です。

一方、在来軸組工法は柱と梁を組み合わせて建物を支える工法です。加わった力が柱や接合部に集中しやすく、部分的に負担がかかりやすい構造といえます。どちらが優れているというより「力の受け方の仕組みが違う」というのが正確な理解です。在来軸組工法で建てられた優れた住宅も数多くあります。工法によって力の伝わり方が違うことを知っておくと、見積もりの中身を見るときの判断材料になります。

地震の力の受け方

ツーバイフォー工法

↓↓↓↓↓

6面体で受け止める

力が面全体に分散する

在来軸組工法

↓

柱・接合部

力が一点に集まりやすい

どちらが優れているかではなく、力の受け方の仕組みが違うという話です

※出典:ニッケンホーム|「性能(耐震/耐火性能)」をもとに作成

阪神淡路大震災で何が起きたか

1995年1月に発生した阪神・淡路大震災では、多くの方が犠牲になり、住まいにも甚大な被害が出ました。全壊した家屋は約10万4,900棟、半壊は約14万4,000棟にのぼります。

被害を受けた住宅には、1階部分だけが押しつぶされ、その上に2階がそのまま落ちるという壊れ方が目立ちました。この壊れ方の背景には、直下型地震特有の強い突き上げによって柱が抜けてしまったことや、壁の配置バランスが悪かったためにねじれの力が生じたことなどがあるとされています。力が建物のどこか一点に集中すると、そこから崩れが広がってしまうということです。

こうした被害状況の中で、ツーバイフォー工法の住宅については、全壊・半壊ともに被害はゼロであったと言われています。この強さを知り、1999年からツーバイフォー工法で住宅を建てています。

規格化された部材と施工のマニュアル化

ツーバイフォー工法の強さは、構造だけでなく使う部材にも支えられています。主に6種類の規格化された枠組壁工法構造用製材を使用しており、日本農林規格(JAS)によって品質がチェックされています。使用する箇所ごとに、使ってよい製材の種別があらかじめ定められている点も特徴です。

木材のほとんどには、含水率19%以下まで乾燥させた製材を使用します。床下や壁面の湿気・結露対策とあわせて、建物の耐久性を確保する狙いがあります。

部材をつなぐ釘も、サイズや用途ごとに色分けされた専用釘を使用しています。どの釘をどこに使うかがあらかじめ決まっているため、施工する職人によって仕上がりにばらつきが出にくい仕組みになっています。

狭い敷地で3階建てにするとき、工法が効く

工法の違いが分かりやすく出るのが、敷地が限られていて上に伸ばすしかない場合です。

火災への備えも仕様で変わる

住まいを選ぶときは、地震だけでなく火災への備えも確認しておきたいポイントです。建物の仕様は省令準耐火構造としており、火災保険料の区分にも関わってきます。地震・火災それぞれの備えがどんな仕様でできているかは、耐震等級とあわせて確かめておきたい項目です。

次の章では、こうした建物の仕様が初期費用と35年間のランニングコストにどう影響するかを見ていきます。

35年で見ると結論が変わる|初期費用とランニングコスト

住まいは建てたあとがスタート

家づくりの検討では、つい「建てるときにいくらかかるか」に目が行きがちです。ただ、住まいは建てたあとが本当のスタートです。断熱性能や設備の品質が不十分だと、暮らし始めてからの光熱費がかさみ、長い目で見ると結果的に大きな負担になることがあります。

こうした考え方から、エネルギー効率に優れた家づくりと省エネ設備の導入によって、建てるときの金額だけでなく、住んでからの光熱費まで含めた「生涯コスト」を見据えて設計するという発想が出てきます。比較する期間の目安としては、35年間のランニングコストで見るという考え方があります。

断熱性能が光熱費に効き続ける仕組み

ここで関わってくるのが、前章で触れたUA値です。UA値は数値が小さいほど熱が逃げにくいことを示す指標でした。

熱が逃げる量が少ない家は、外の気温に室温が引っ張られにくいため、同じ室温を保つのに使うエネルギーが少なくて済みます。これは建てたその日だけの話ではなく、住み続ける限り毎日積み重なっていく仕組みです。だからこそ断熱性能は、1年ではなく35年という長い期間で比較する意味を持ちます。

こうした住宅性能を高めることには、2つの意味があります。身近な視点では、不快で不健康な室内環境をなくし、住み心地のよい家計に優しい生活の実現につながります。大きな視点では、温暖化などの環境悪化を抑え、子どもたちの未来を守る取り組みにもなります。

今年も光熱費が高かった、と思った方へ|一宮市で建てた家は年18.5万円でした

考え方の話が続いたので、実際に一宮市で建った家の数字を1つ出します。

一宮市T様邸の外観。深いグリーンのガルバリウム鋼板に木目調をアクセントにした2階建て。手前の庭にシンボルツリーのヤシの木
一宮市T様邸。深いグリーンのガルバリウム鋼板に木目をアクセントとして入れた外観

一宮市/T様邸 BEI:0.39 / UA値:0.56

建築種別 2階建て
延床面積 109.31㎡(33.12坪)
敷地面積 293.77㎡(88.86坪)
テーマ シンボルツリーにヤシの木を採用/野球好き家族が考えた間取り

※出典:ニッケンホーム|「ガルバ×木目調ZEHの家」

一宮市のT様ご一家は、野球が大好きなご家族です。家づくりで最初に出てきた希望も、そこから来ていました。庭でキャッチボールができること。練習から帰ってきた子どもが、家じゅうを通らずにそのままお風呂へ行けること。

その2つを間取りに落とし込んだのが、この家です。玄関からお風呂までを一直線につないだ帰宅動線をつくり、庭はキャッチボールができる広さを確保しました。外観は深いグリーンのガルバリウム鋼板に木目をアクセントとして入れ、内観は好きな色である黒を差し色に使っています。シンボルツリーには、ヤシの木を植えました。

建物は延床33.12坪の2階建て、敷地は88.86坪です。断熱性能はUA値0.56で、前章のHEAT20 G1にあたる水準になっています。

そのうえで、暮らし始めてからの光熱費がこうなりました。

年間の光熱費
国の省エネ基準を満たす家28.07万円
一宮市T様邸18.53万円

年間 9.54万円 少ない(34%減)/月あたり約8,000円

年間の光熱費 金額
国の省エネ基準を満たす家 28.07万円
一宮市T様邸 18.53万円

※電気27円/kWh・ガス155円/m³で計算。基本料金は含まず、再生可能エネルギー分を除いた比較です。国の省エネ基準はH28年度基準の性能値を用いています。出典:ニッケンホーム|「ガルバ×木目調ZEHの家」

差は年間9.54万円、率にすると34%です。月あたりにならすと8,000円ほどになります。この差は毎年出てきます。

つくる側に回るという選択

断熱性能で「使うエネルギーを減らす」考え方に加えて、「使う分のエネルギーを自分でつくる」という選択肢もあります。太陽光発電による創エネと、蓄電池による相乗効果を組み合わせ、エネルギー収支を実質ゼロ以下にすることを目指す考え方です。

太陽光や蓄電池を導入すると、建てるときの初期費用は上がります。ただ、長い期間で見たときに、この初期費用の差が結論にどう影響するかは、断熱性能と同じく分けて考える必要があります。すべての方に必要な選択ではありませんが、検討材料として持っておきたい視点です。

「2つの合計」で比べる

判断のポイントは、建てるときの金額と、住み始めてからの費用を合わせて見ることです。どちらか一方だけで決めると、総額での比較になりません。

見積もりは「2つの合計」で比べる

建てるときの金額
住んでからの35年(光熱費)

どちらか一方だけを見ると、総額での比較になりません

見るもの 具体的に
建てるときの金額 見積書に記載された総額
住み始めてからの費用 UA値や設備の省エネ性能によって変わってくる、暮らしで使うエネルギーの量

※本記事の内容をもとに作成した整理表です。

初期費用の比較だけで決めてしまうと、住み始めてからの視点が抜け落ちてしまいます。次の章では、この2つの視点を踏まえて、予算をどう決めていくかを3つのステップで整理します。

実際に建ったニッケンホームの施工事例

この記事で数字を挙げてきた家を、写真と一緒に並べます。上の3棟は断熱グレードが違う家で、いちばん下は敷地の条件が厳しかった家です。

施工事例

岐阜県神戸町Y様邸|grand相当・UA値0.26の平屋

岐阜県神戸町Y様邸の外観。紺色のガルバリウム鋼板に木の玄関扉を合わせた平屋

岐阜県神戸町Y様邸のLDK。木の床とダイニングから対面キッチンまで見通せる空間

標準仕様を大きく上回る断熱仕様と窓の選定で、UA値0.26という水準になった家です。この水準の家が一宮市内にはまだないため、参考として挙げています。気候の条件は一宮市と大きくは変わらない地域です。

建築種別 平屋
延床面積 27.05坪
UA値 0.26(HEAT20 G3相当)
年間光熱費 26.62万円 → 14.64万円(45%減)

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施工事例

一宮市K様邸|prime相当・UA値0.42の2階建て

一宮市K様邸の外観。白と紺を組み合わせた2階建てとバルコニー

一宮市K様邸のLDK。勾配天井と対面キッチンのあるリビングダイニング

東海エリアでコストパフォーマンスに優れる水準とされる、HEAT20 G2相当のグレードで建てた家です。延床37.10坪とこの記事の4棟でいちばん広く、使うエネルギーの総量も大きくなります。

建築種別 2階建て
延床面積 37.10坪
UA値 0.42(HEAT20 G2相当)
年間光熱費 32.20万円 → 18.68万円(42%減)

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施工事例

一宮市T様邸|smart相当・UA値0.56の2階建て

一宮市T様邸の外観。深いグリーンのガルバリウム鋼板に木目をアクセントにした2階建て

一宮市T様邸のLDK。木の天井と対面キッチンのあるダイニング

この記事の本文で光熱費を見た家です。延床33.12坪。省エネ基準を満たす家と比べて、年間で9.54万円下がっています。

建築種別 2階建て
延床面積 33.12坪
UA値 0.56(HEAT20 G1相当)
年間光熱費 28.07万円 → 18.53万円(34%減)

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施工事例

一宮市H様邸|敷地32.6坪に、インナーガレージ付きの3階建て

一宮市H様邸の外観。1階にインナーガレージを設けた白い3階建て

一宮市H様邸の2階リビング。大きな窓から緑が見えるリビング

車好きのご家族の希望で、1階に広いインナーガレージを設けた3階建てです。ガレージは大きな開口が必要になるぶん、構造の組み方が難しくなる部分です。敷地が限られていて上に伸ばすしかない条件でも、断熱性能を確保できていることが数値に出ています。2階リビングは神社の森を望む配置です。

建築種別 3階建て
延床面積 49.0坪
敷地面積 32.6坪
UA値 0.43
年間光熱費 29.90万円 → 18.54万円(38%減)

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まとめ|一宮の注文住宅は「エリアの土地代」と「35年」で決まる

この記事の要点は4つです。

ひとつめは、一宮市は市内で土地の坪単価が15.1万円から42.8万円まで約2.8倍違うため、市の平均坪単価では自分の予算を計算できないということ。ふたつめは、市の面積の66.6%が市街化調整区域なので、価格が低い土地はその理由を先に確かめる必要があるということです。

みっつめは、建物は坪単価ではなくUA値と工法で比べるということ。よっつめは、初期費用ではなく35年で並べるということです。一宮市のT様邸では、年間の光熱費が国の省エネ基準を満たす家より9.54万円低くなっていました。

これを、動ける順番にすると次のようになります。

予算を決める順番

  1. 総予算の上限 借りられる額ではなく、返していける額から
  2. 土地代を引く 候補エリアの坪単価 × 坪数。区域も同時に確認
  3. 届くグレード 残額でUA値と耐震等級を出してもらう

最後は実物で。断熱の効き方は図面では体感できません

STEP やること 気をつけること
1 総予算の上限を決める 借りられる額ではなく、返していける額から逆算する
2 候補エリアの坪単価から土地代を引く エリアを2〜3パターン出す。区域の確認も同時に
3 残った額で届く断熱グレードを確かめる UA値と耐震等級を数字で書いてもらう

※本記事の内容をもとに作成した整理表です。

そのうえで、最後は実物です。断熱性能や気密の効き方は、図面や数値だけでは体感できません。夏や冬に実際の建物の中に入ってみると、数値の意味が分かります。

まずは、ご自身の候補エリアの坪単価を調べるところから始めてみてください。