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一宮市のハザードマップの見方|洪水・内水・高潮を住所で確認する手順

COLUMN

土地探しが進んで候補地が見えてきた頃、不動産会社や家族から「ハザードマップは見ましたか」と聞かれて、市のページを開いてみた。そうしたらPDFが何種類も並んでいて、どれを見ればいいのか分からないまま閉じてしまった——そんな経験はないでしょうか。

検索して上位に出てくるのは、市の公式ページと全国共通のポータルサイトがほとんどです。つまり「マップの置き場所」は分かる。でも本当に知りたいのは、色の意味と、自分の候補地に色がついていたらどう考えればいいか、のはずです。

前提として、一宮市はほぼ平坦な地形で、雨水が流れにくく溜まりやすい土地です(一宮市治水課)。2000年の東海豪雨をはじめ、市が浸水実績として記録する豪雨は6回。だからこの街では、ハザードマップを「見る」だけでなく「読める」ことが、土地選びの前提になります。

私たちニッケンホームは、1979年の創業から45年、この一宮で3,800棟以上の家を建ててきました。水と付き合ってきた平坦な街で家づくりを続けてきたからこそ、ハザードマップは「怖がるための地図」ではなく「土地を選ぶための道具」だと考えています。この記事では、5種類のマップの使い分け、色の読み方、家を建てる前の確認手順を順番に解説します。読み終える頃には、候補地の住所を引いて、色の意味をご自身で判断できるようになっているはずです。

一宮市のハザードマップは5種類|まず「138マップ」で住所を引く

ハザードマップを確認するなら、一宮市の「138マップ」を開くのが最速です。住所を入力すれば、その場所が複数のハザードの対象かどうか、一度に見られます。

一宮市が提供するハザードマップは5種類。洪水・内水・高潮・液状化・避難所で、リスクの種類と見るべきタイミングが異なります。次の表で全体を押さえてから、候補地について順に確認するのが迷わない方法です。

マップ

何のリスク

いつ見るか

確認方法

洪水ハザードマップ

河川の堤防決壊・越水

土地探しの最初

138マップ

浸水実績図(内水)

排水が追いつかない豪雨

洪水と同時に確認

138マップ

高潮ハザードマップ

台風・低気圧時の海水位上昇

対象12地区の候補地なら必須

PDF版・市窓口

液状化危険度マップ

地震時の地盤液状化

建築プラン検討時

市ホームページ(PDF)

避難所マップ

災害時の行き先

入居前後の日頃の備え

138マップ・防災ハンドブック

※出典:一宮市|「洪水・内水ハザードマップ」「高潮ハザードマップ」

138マップで住所を引く(PC・スマートフォン・24時間)

138マップは、パソコンでもスマートフォンでも24時間アクセスできる市のインタラクティブ地図です。住所を入力すると、洪水と内水(浸水実績)の情報を色分けで表示できます。同じ画面で避難場所の位置も確認でき、複数の情報を重ねて見られるのが特徴です。

リアルタイムの河川水位情報とも連携しているため、台風接近時や大雨警報が出たときの状況確認にも役立ちます。市は各河川の水位・雨量計のデータ・河川カメラの映像を公開しており、5段階の警戒レベルに基づく情報発信と合わせて、「いま候補地の川がどうなっているか」まで確認できます。土地探しの段階だけでなく、住み始めたあとにもう一度開くことになる道具です。

紙で欲しい人向け:配布場所

紙版のハザードマップは、次の窓口で配布されています。画面では見にくい、家族と机の上で確認したい、という場合はこちらが便利です。

  • 市役所本庁舎8階 治水課
  • 市役所本庁舎4階 危機管理課
  • 尾西庁舎1階 窓口課
  • 木曽川庁舎1階 総務窓口課
  • 各出張所

住所を138マップで引いたら、次はその画面の色が読めるかどうかです。いちばん重要な洪水マップの色から、順に説明します。

洪水ハザードマップの読み方|浸水深6分類と対象9河川

ハザードマップの色は、「深さ」と「取るべき行動」の2つを同時に教えてくれる記号です。色の濃さによって浸水の想定深が異なり、必要な避難行動も変わります。

対象の河川は9本

一宮市の洪水ハザードマップが対象とする河川は9本です。国管理の木曽川・日光川の2本に、新川・五条川・青木川など県管理の河川、さらに水位周知河川が加わります。候補地がどの川の流域に当たるかは、マップ上で確認できます。

なお想定は「想定最大規模の降雨(2000年東海豪雨相当)」に基づいています。毎年起こる規模の雨ではなく、最大級を見込んだ地図だということを、まず押さえてください。

浸水深6分類と避難行動の対応

一宮市のハザードマップの浸水深分類は、国の標準に従っています。候補地の色が「どの深さか」「そのときどう動くか」を、この表で判断できます。

浸水深

意味

取るべき行動

0.5m未満

床下浸水

自宅2階への垂直避難で対応可

0.5m〜1m

1階床上浸水

垂直避難または早期避難

1m〜2m

1階天井付近まで

早期避難が必須

2m〜3m

2階床上浸水

早期避難が必須

3m〜5m

2階天井付近まで

広域避難が必須

5m超

3階以上

広域避難が必須

※出典:一宮市|「洪水・内水ハザードマップ」・国土交通省|「浸水深と避難行動について」

読み方の分岐点は「1m」と「3m」

表を2つの線で覚えると実用的です。

1つ目の線は1m。0.5m未満の床下浸水なら、2階への垂直避難で身の安全を確保できる区分です。0.5〜1mになると1階の床上まで水が来るため、垂直避難で粘るか早めに避難するかの判断が入ります。

2つ目の線は3m。これを超えると2階の天井まで水が達する想定になり、自宅にとどまる選択肢がなくなります。事前に避難場所と経路を決めておくことが前提の土地、ということです。

「うちの候補地はどの川由来のリスクか」「内水のリスクもあるか」といった細かい質問は、市の治水課(0586-28-8623)で確認できます。

洪水の次は、意外と知られていない高潮です。一宮は海から離れているのに、対象地区があります。

高潮ハザードマップ|対象は市内12地区(今伊勢町を含む)

なぜ内陸の一宮に高潮リスクがあるのか

「高潮」と聞くと、海沿いだけの問題だと思う人も多いはずです。しかし高潮ハザードマップは、台風や低気圧により高潮が発生した場合に浸水が想定される範囲を示したもので、愛知県が想定した最大規模のシナリオに基づき、内陸の一宮市にも対象地区が設定されています。

背景にあるのは地形です。一宮市はほぼ平坦で、市域全体が低平地のため排水に時間がかかります。この地形特性により、最大規模の高潮シナリオでは市内の一部まで浸水が想定されています。

対象12地区の一覧

高潮ハザードマップの浸水想定区域に含まれるのは、次の12地区です。

上山地区、大和町、今伊勢町、奥町、萩原町、沖地区、小信中島地区、三条地区、大東地区、朝日地区、開明地区、木曽川地区
※出典:一宮市|「高潮ハザードマップ」

私たちのモデルハウスがある今伊勢町も、この12地区に含まれています。

なお市は重要な注記を公開しています。「地形の起伏や個別の地形条件により、指定範囲外でも浸水する可能性があり、指定範囲内であっても浸水しない場所がある可能性がある」。ハザードマップは目安であり、すべてを言い当てる地図ではないことを前提に使ってください。

対象地区で暮らすということ

対象地区に指定されていることは、「住めない」という意味ではありません。リスクを正確に知り、備えられる地区だと捉えるのが実用的です。

対象地区で検討する場合の確認は2つです。1つ目は、住所ごとの具体的な浸水想定深。PDF版マップ(通常版2.5MB・教育版2.0MB)に記載があり、市の危機管理課(0586-28-8959)でも確認できます。2つ目は、高潮の指定緊急避難場所。対象12地区では指定済みで、マップ上に明記されています。

想定図の次は、実際に起きたことの記録です。一宮の過去の浸水を見ていきます。

 

リスクを知って、備えて建てる

私たちニッケンホームは、一宮で45年、3,800棟以上の家を建ててきました。この街の土地と気候に合わせた家づくりの基本をまとめた「はじめての家づくり応援BOOK」(4冊)を無料でお届けしています。

土地選びの疑問にも役立つ内容です。営業のお電話はいたしません。

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浸水実績図|2000年東海豪雨から6回の記録が残っている

想定図と実績図は、別の情報です。想定図は「このレベルの雨が降ったらどこまで浸水するか」という予測。実績図は「過去に実際に水が出た場所」の記録。データとしての性質が違うため、両方を見ると土地の解像度が上がります。

内水と外水——2つの浸水のしくみ

浸水には2種類あります。

外水(洪水)は、河川の堤防決壊や越水によって水があふれるしくみ。前章までの洪水ハザードマップが扱う対象です。

内水は、短時間の大雨で下水道や排水路が処理しきれず、雨水があふれるしくみです。一宮市はほぼ平坦な地形で水が流れにくく溜まりやすいため、川から離れた場所でも内水浸水は起こり得ます。さらに市街化の進展で農地が減り、雨水の浸透性が下がっていることも、市が挙げる地形的な弱点です。「川から遠いから水害は関係ない」が成り立たない理由が、ここにあります。

市の浸水実績図はこの内水を中心に、「実際に浸水した場所」を記録したものです。シミュレーションではなく実績である点が、この地図の価値です。

過去6回の浸水イベント

一宮で実際に水が出たのはいつなのか。それを知る手がかりが市の記録に残っています。一宮市が公開する「浸水実績図(内水ハザードマップ)」によると、記録されている主な浸水は次の6イベントでした。20年近くの間に、豪雨のたびに市内のどこかで水が出てきたことが分かります。

災害

内容

2000年9月

東海豪雨

被災市町村に指定される甚大な浸水被害

2008年8月末

集中豪雨

市内で浸水被害

2011年8月

集中豪雨

市内で浸水被害

2013年9月

集中豪雨

市内で浸水被害

2017年10月

台風21号

広範囲で浸水

2018年7月

集中豪雨

市内で浸水被害

※出典:一宮市|「浸水実績図(内水ハザードマップ)」

最新の実績図は2018年7月版です。それ以降の大規模な浸水は市の公開資料に記載がなく、2020年代に入ってから大規模被害が発生していない可能性を示しています。

実績図の使い方——想定図と重ねる

実績図の使い方はシンプルで、138マップ上で想定図と重ねて見ることです。想定と実績は必ずしも一致しません。両方を重ねることで、「この場所のリスクは想定上のものか、実際に起きてきたものか」という解像度が手に入ります。特定の住所について詳しく知りたい場合は、市の計画調整課・治水課への問い合わせも有効です。

20年以上前の東海豪雨が、なぜ今も基準であり続けるのか。市がその後進めてきた対策と、その正直な限界を次に見ます。

東海豪雨からの治水対策|市の整備目標は52.4mm/時・それを超えたら自助

2000年の東海豪雨を経験して、一宮市は治水対策を積み重ねてきました。大事なのは、その対策が「どこまでを守る設計なのか」を知っておくことです。

市が取り組んできた4つの対策

東海豪雨以降の市の治水対策は、4つのカテゴリに整理できます。

  • 河川改修:木曽川・庄内川水系・新川など主要河川の堤防強化
  • 調整池:古神調整池・青木川調整池など、大雨時に雨水を一時的に貯める施設の整備
  • 排水ポンプ場:自然排水が難しい平坦地のための、ポンプ場の新設・増強
  • 雨水貯留:学校の校庭や公園への雨水一時貯留施設の設置

いずれも実績として進んでいる投資です。

整備目標は「52.4mm/時」——東海豪雨は「114mm/時」

ここがこの章の核心です。市が排水施設の整備目標としているのは、5年に1度の頻度の降雨、時間雨量52.4mmへの対応です。一方、東海豪雨の時間雨量は114mm。整備目標を大きく超える雨が、実際にこの土地に降ったことがあります。

※出典:一宮市|「東海豪雨後の取り組み」「一宮市総合治水計画」

これは行政批判ではなく、設計思想の話です。あらゆる規模の雨に施設で対応することは、物理的にも財政的にも不可能です。だから市は基準を定めて投資し、基準を超える雨には「早めの避難」と「日頃の備え」——つまり自助と共助で対応する構造になっています。ハザードマップが整備されているのは、その自助のための道具立てです。

使える支援制度——雨水タンク設置補助

自助を後押しする制度として、一宮市には雨水タンク設置の補助制度があります。敷地内で雨水を一時的に受け止め、周辺への流出を減らす取り組みで、詳細は市のホームページで確認できます。

市の対策と、その正直な限界。この両方を知った上で、候補地について具体的に何をどの順で確認すればいいか。手順に落とします。

家を建てる前のハザード確認5ステップ|色がついていても「即NG」ではない

候補地が見つかったら、契約前に次の5ステップで確認してください。順番どおりに見れば迷いません。

※本記事の内容をもとに作成

ステップ① 138マップで住所を検索する

138マップを開き、候補地の住所を入力します。洪水・浸水実績・避難場所を同じ画面で重ねられるので、以降のステップはすべてここが起点になります。

ステップ② 洪水マップで浸水深を確認する

候補地に色がついていたら、色の濃さから浸水深の区分を読みます。0.5m未満の床下浸水想定と、3m超の2階天井想定では、取るべき行動も土地の評価もまったく違います。前章の6分類表と照らして、「深さ」で捉えてください。

このとき思い出してほしいのは、想定の前提です。マップの色は「想定最大規模の降雨(東海豪雨相当)」が降った場合の予測であり、毎年の雨でそこまで浸かるという意味ではありません。深さと合わせて、前提の規模も一緒に読むのが正しい使い方です。

ステップ③ 浸水実績図を重ねて見る

次は予想ではなく実績です。2000年の東海豪雨から2018年の集中豪雨まで、実際に水が出た場所の記録を想定図に重ねます。想定と実績のズレを見ることで、候補地のリスクの実像に近づけます。

ステップ④ 液状化危険度マップで地盤を確認する

水害だけでなく、地震時の液状化も確認します。一宮市の液状化危険度マップ(2023年改訂版・PDF)によると、市内中心部から南西部にかけて危険度が「極めて高い」と評価されている地域があります。該当する場合は、建築段階で地盤調査と対策を検討する項目が増えると考えてください。

ステップ⑤ 避難場所までの距離と経路を確認する

最後に、候補地から指定緊急避難場所と指定避難所までの距離・経路を138マップで確認します。「どこへ、どの道で行くか」を土地選びの段階で把握しておくと、住み始めてからの備えが具体的になります。

色がついていたら——「深さ・実績・建て方」の3軸で考える

色がついているという理由だけで候補から外す必要はありません。判断は3軸です。

1つ目は深さ。床下浸水の想定と2階までの想定では、意味がまるで違います。2つ目は実績。想定図の色と実績図の記録を重ねて、実際に起きてきた場所かを見ます。3つ目は建て方。浸水深や地盤の評価に応じて、基礎や地盤改良、排水計画などを建築段階で検討する選択肢があります。

同時に、マップの公式注記——指定範囲外でも浸水の可能性があり、範囲内でも浸水しない場合がある——も忘れないでください。最終判断の前には、市役所への問い合わせ(治水課 0586-28-8623)と、建築の専門家への相談をセットにするのが確実です。

土地を決めたあとの、日常の備えについても1章だけ触れておきます。

日頃の備え|避難所の体系と「あんしん・防災ねっと」

避難先は2種類ある——緊急避難場所と避難所

一宮市の避難施設は、役割で分かれています。

指定緊急避難場所は、災害の発生直後に身の安全を確保する場所です。滞在は短時間で、洪水なら高い建物の上層階や堤防より高い公園、地震なら火災の危険がない広い公園(広域避難場所)が指定されています。

指定避難所は、住まいを失った人が一定期間滞在できる施設です。小中学校の体育館・武道館を中心に指定され、食糧や日用品の配給が行われます。収容能力を超えた場合の補助避難所、民間施設(ホテル等)の届出避難所も用意されています。

「まず身を守る場所」と「そのあと過ごす場所」。この2つを分けて、両方の場所を家族で共有しておいてください。避難先は災害の種類によっても変わります。洪水と地震では指定される場所が違うため、「洪水のとき行く場所」「地震のとき行く場所」をそれぞれ確認しておくのが確実です。

あんしん・防災ねっと——登録は今日5分でできる

一宮市の「あんしん・防災ねっと」は、気象警報・地震情報・避難指示などをスマートフォンに直接配信する無料のメールサービスです。日本語のほか英語・中国語・ポルトガル語・韓国語にも対応しています。

登録は空メールを送るだけです。(日本語版: i.anshin@138bousai.jp)。

登録方法に迷ったら、コールセンター(0120-27-0933・平日9〜17時)で案内を受けられます。

防災ハンドブック

市の防災ハンドブック(2023年3月改訂版)には、災害全般の知識、避難場所の位置、地表震度分布マップ、液状化危険度マップがまとまっています。紙で1冊手元に置いておくと、この記事で見てきた情報を家族と共有するときに便利です。

最後に、この記事の要点をまとめます。

まとめ|マップを「読める」ことが、一宮の土地選びの前提

一宮市のハザードマップについて、要点を3行で戻します。

  • マップは5種類。起点は138マップで、洪水・実績・避難場所を住所単位で重ねて見られる
  • 色は「深さ」と「行動」の記号。分岐点は1mと3m。色つき=即NGではなく、深さ・実績・建て方の3軸で判断する
  • 市の治水は整備目標52.4mm/時まで。それを超える雨は自助の領域で、マップと防災メールがその道具になる

一宮の住みやすさ全体を判断したい方は、エリア別の比較も含めて解説した記事があります。

私たちのモデルハウスがある今伊勢町も、高潮の対象12地区に含まれる土地です。その土地でどう調べ、どう備えて建てているかは、現地でご覧いただけます。マップを読める人が増えるほど、この街の土地選びは確かなものになる——そう考えて、この記事を書きました。

 

リスクを知って、備えて建てる

私たちニッケンホームは、一宮で45年、3,800棟以上の家を建ててきました。この街の土地と気候に合わせた家づくりの基本をまとめた「はじめての家づくり応援BOOK」(4冊)を無料でお届けしています。

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