一宮市の災害リスク全体像|水害・地震・液状化と避難所のしくみ
引っ越し先の災害リスクを調べようとすると、洪水・地震・液状化と資料がバラバラに出てきて、全体像がつかめない。真面目に調べようとした方ほど、この壁にぶつかります。
市の公式サイトは部署ごとのページ構成なので、「結局この街は、何にどう備える街なのか」という一番知りたい問いには、なかなかたどり着けません。
先に全体地図をお渡しします。一宮で備える対象は、水害(洪水・内水・高潮)と地震(揺れ・液状化)の2本柱。内陸の街なので津波の被害想定はありません。災害ごとにリスクの場所と資料が違うため、この地図を持ってから個別に確認するのが近道です。
私たちニッケンホームは、1979年の創業から45年、この一宮で3,800棟以上の家を建ててきました。この街で家を建て続けてきたからこそ、災害リスクと正面から向き合った全体像をお届けします。
一宮の災害リスク全体像 — 水害と地震の2本柱・津波想定はなし
一宮へ引っ越しを考えたとき、最初に気になるのは「この街は何か災害が多いのか」という素朴な疑問です。洪水、地震、液状化、高潮……ニュースで見かけるたびに「一宮はどうなのか」と調べたくなりますが、市の防災情報を見ると、縦割り組織の影響か、情報が散らばっていて全体像がつかみにくいです。
まず整理しておくべきことは、一宮で備えるべき災害は大きく2つということです。1つ目は水害です。洪水(河川が堤防を超える)、内水(大雨で下水道が追いつかない)、高潮(台風時に海面が上昇する)の3種類があります。2つ目が地震です。南海トラフ大地震に伴う揺れと、平坦な地形による液状化がリスクです。
一方で、知っておくと安心な事実もあります。一宮は海から遠い内陸都市のため、津波被害の想定がありません。「地震は津波が怖い」というイメージを持つ方も多いと思いますが、一宮にはそのリスクがないということです。
以下の表は、一宮で想定される主な災害と、確認先・対策の方向性をまとめたものです。
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災害の種類 |
想定規模 |
確認先 |
対策の軸 |
詳しくはこちら |
|---|---|---|---|---|
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洪水 |
河川の堤防決壊・越水 |
ハザードマップ・市役所治水課 |
避難ルート・時間軸 |
別記事で解説 |
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内水 |
過去6回の浸水実績 |
138マップ(浸水実績図) |
早期避難・補助制度 |
別記事で解説 |
|
高潮 |
12地区対象・台風・低気圧時 |
ハザードマップ・危機管理課 |
緊急避難場所の確認 |
別記事で解説 |
|
地震(揺れ) |
震度6弱(市内大部分) |
防災ハンドブック・気象庁情報 |
建物耐震性能 |
H2-2で解説 |
|
液状化 |
中心部〜南西部が「極めて高い」 |
液状化危険度マップ |
地盤調査・改良 |
H2-3で解説 |
※出典:一宮市|「洪水・内水ハザードマップ」ほか市公式防災情報
水害は場所が限定される傾向があります。洪水は河川周辺が中心ですし、高潮は海寄りの12地区に限られます。内水も実績ベースで過去の浸水箇所が記録されています。つまり、事前にハザードマップで確認しておけば、自分の家がそのエリアに該当するか判断できるということです。
重要な点は、災害ごとに確認先と対策が全く異なる ということです。水害に関する情報は市役所の治水課や計画調整課が担当し、ハザードマップで可視化されています。一方、地震や液状化に関する情報は別の部署(危機管理課)で管理され、別のマップで表示されます。同じ市の災害情報でも、「どこで」「何を」「どのマップで」確認するかが災害の種類によって異なるため、全体地図を先に理解することが効率的なのです。
バラバラな情報を1つ1つ検索して確認するよりも、災害の全体像を掴んでから「自分の家に関係する災害は何か」を特定し、その災害の詳しい情報に入っていく方が、判断と備えが圧倒的に早くなります。
地震も同様です。液状化リスクは市のマップで色分けされており、「極めて高い」「高い」「低い」で視覚的に判断できます。揺れについても、南海トラフ大地震の想定震度は市内大部分で震度6弱と想定されており、この数字を前提に家を建てれば良いのです。
この記事では、災害ごとに何が想定されているのか、どこで何を確認すればいいのか、どう備えればいいのかを整理します。全体像を理解した上で、詳しく知りたい災害については、個別の記事や公式資料へ案内します。災害対策は「全体を知ってから個別に備える」のが効率的です。
地震 — 南海トラフで市内大部分が震度6弱の想定
一宮が想定すべき地震は、南海トラフ大地震です。南海トラフとは、紀伊半島から九州沖にかけて延びる海底の溝で、100〜150年周期で大規模な地震が起きると考えられています。直近の大地震は1944年と1946年です。
市内大部分が震度6弱の揺れを想定しています。震度6弱というのは、固定されていない家具の多くが倒れ、建物に傷みが出始める程度です。ただし建物の耐震性能によって被害は大きく異なります。新しい建築基準で建てられた家と、古い基準の家では、同じ揺れを受けても影響が天と地ほど違います。
地震は避けられませんが、建物の耐震性能で身を守る割合がかなり大きいということです。土地選びも重要ですが、一宮の場合は「どの建物に住むか」の方が「どこに住むか」以上に大切な領域があります。家を建てるときに、耐震性能をしっかり相談しておくことが、地震対策の最優先事項になります。
気象庁では南海トラフ大地震の兆候を監視しており、異常が検出されると「南海トラフ地震臨時情報」という情報を発表します。この情報は3つの段階で示されます。1つ目が「調査中」です。これは海底で異常が検出されたものの、詳しい内容を調査中という段階です。2つ目が「巨大地震警戒」です。これは異常な現象が続いており、巨大地震の可能性が相対的に高まっているという段階です。3つ目が「巨大地震注意」です。これは異常な現象が観測されたが、巨大地震の発生の可能性がやや高まっているという段階です。
これらの情報が発表されたときは、自治体から一般市民向けに避難指示などの情報が発信されます。ラジオやテレビ、あんしん・防災ねっと等で速やかに情報が届き、自治体の指示に従うことが最優先になります。
では、実生活ではどう備えればよいのか。家を新築・購入するときに、一宮での地震対策を「建物の耐震性能」に軸足を置くことが最も効果的です。震度6弱の揺れが想定される中では、昭和56年以前の基準で建てられた建物と、現行基準(平成12年以降)で建てられた建物では、被害レベルが全く異なります。つまり、土地を選ぶのと同じくらい、あるいはそれ以上に「どの基準で建てられた家か」が重要になるのです。地盤よりも、土地よりも、建物そのものの「強さ」が地震対策の最大の武器になります。
ただし、「いつ来るか」という予測は難しいのが実際のところです。約100〜150年周期という見通しはありますが、それはあくまで過去の間隔であり、正確な時期は誰にも分かりません。つまり、いつ来てもおかしくない状態で暮らすということを前提に、日常から少しずつ備えていくのが現実的な地震対策です。
※出典:一宮市|「南海トラフ地震について」
液状化 — 中心部から南西部が「極めて高い」
地震が起きたときに、もう1つ気になるのが液状化です。液状化とは、地震の揺れで地盤の中の水分が増えて、土が液体のように流動化する現象です。建物が沈み込んだり、傾いたりする被害につながります。
一宮市は濃尾平野の平坦地帯にあり、液状化のリスクを想定しておきたい地域です。市が発表している液状化危険度マップで、一宮市の液状化リスクを可視化しています。
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危険度 |
色 |
対象エリア |
特徴 |
|---|---|---|---|
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極めて高い |
赤 |
市の中心部から南西部にかけて |
液状化の可能性が高い |
|
高い |
黄 |
平野部の広い範囲 |
液状化の可能性がある |
|
低い |
緑 |
ほぼなし |
台地・丘陵地帯(一宮市内には限定的) |
※出典:一宮市|「液状化危険度マップ(2023年改訂版)」
一宮市の地形は平坦で、平野部の広い範囲が「高い」、中心部から南西部は「極めて高い」に分類されます。自分の土地がどのエリアに該当するのかは、市役所が配布している「液状化危険度マップ2023年改訂版」で確認できます。このマップは防災ハンドブック(令和5年3月改訂版)にも収載されており、市役所本庁舎4階危機管理課で無料配布しています。引っ越しの際に案内チラシとともに手に入れることができます。
重要な点は、「極めて高い」エリアにあっても、対策できるということです。地盤調査をした上で、必要に応じて地盤改良を行うことで、液状化のリスクを軽減できます。ただし対策には工事費がかかるため、土地選びの段階で液状化リスクを把握し、設計段階で専門家に相談することをお勧めします。「液状化が起きるかもしれない」という不安のままで家を建てるのではなく、事前に調査と対策を講じることで、安心して暮らせます。
実際の流れは次のようになります。土地を決めたら、まずその土地のハザードマップ情報を確認します。その後、建築設計の打ち合わせのときに「このエリアは液状化リスクがあります」と事前に伝えておくことで、必要に応じて地盤調査(ボーリング調査)が実施され、調査結果に応じた対策(地盤改良の実施の有無や方法)が検討されます。
液状化は地震の揺れと違い、「どれくらい揺れたか」よりも「地盤がどういう状態か」が重要です。つまり、土地の性質を知ることで、かなり対策できる災害だということです。
※出典:一宮市|「液状化危険度マップ(2023年改訂版)」
リスクを知って、備えて建てる私たちニッケンホームは、一宮で45年、3,800棟以上の家を建ててきました。この街の土地と気候に合わせた家づくりの基本をまとめた「はじめての家づくり応援BOOK」(4冊)を無料でお届けしています。 土地選びの疑問にも役立つ内容です。営業のお電話はいたしません。 |
水害 — 洪水・内水・高潮の3種類を仕分けて確認する
「一宮は水害が多いか」という質問をもらうことがあります。結論から言えば、一宮は水害への備えが必要な街です。ただし、水害といっても種類が3つあり、場所が限定される傾向があります。全体像を理解することで、「自分の家がどのリスクに該当するか」を冷静に判断できます。
1つ目は洪水です。河川が大雨で堤防を超えるときに起きます。一宮の場合、木曽川、日光川、新川、五条川、青木川など複数の河川が想定対象です。ハザードマップは水防法に基づく「想定最大規模の降雨」を前提に作られています。これらの河川の周辺エリアは浸水のリスクがあります。
2つ目が内水です。これは大雨が降ったときに、下水道や排水路が処理しきれず、水が溜まってしまう現象です。洪水のように河川が関係しないため、「うちは河川から遠いから大丈夫」という判断は通用しません。ただし幸いなことに、過去の浸水実績が記録されています。2000年の東海豪雨以降、平成20年、平成23年、平成25年、平成29年の台風21号、平成30年と、6回の浸水イベントが記録されています。これらの実績は「138マップ」というインタラクティブな市民向けマップで確認できます。
3つ目が高潮です。台風や低気圧によって海面が上昇し、堤防を超えるときに起きます。高潮に該当するのは一宮市内の12地区に限られます。上山、大和町、今伊勢町、奥町、萩原町、沖、小信中島、三条、大東、朝日、開明、木曽川です。これら12地区以外にお住まいなら、高潮については気にしなくて大丈夫です。
これら3種類の水害を確認するのに最適なのが、一宮市の「138マップ」です。洪水と内水のハザードマップを重ね合わせて表示でき、自分の住所で検索することで、該当するリスクを視覚的に確認できます。市役所から紙版を入手することもできますが、デジタルマップの方が検索と重ね合わせが簡単です。
※出典:一宮市|「洪水・内水ハザードマップ」
避難のしくみ — 「避難所」と「緊急避難場所」は別物
災害が起きたとき、「避難」という言葉を聞きますが、実は複数の避難施設があり、それぞれ役割が異なります。混同していると、いざというときに判断に迷うので、ここで整理しておきます。
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施設の種類 |
目的 |
滞在期間 |
設備 |
例 |
|---|---|---|---|---|
|
指定避難所 |
生活基盤の確保 |
一定期間(数日〜数週間) |
食糧・日用品配給・寝具 |
小中学校の体育館 |
|
指定緊急避難場所 |
身の安全確保(一時的) |
短時間(発災直後) |
基本的な設備のみ |
高い建物・公園等 |
|
補助避難所 |
指定避難所の代替 |
一定期間 |
指定避難所に同等 |
ホテル等の民間施設 |
1つ目の「指定避難所」は、住まいを失った人が一定期間滞在できる施設です。食糧や日用品の配給が行われ、小中学校の体育館が中心です。避難所運営マニュアルに基づいて運営されます。つまり、避難所は「一定期間の生活基盤」というイメージです。
2つ目が「指定緊急避難場所」です。これは、災害が発生した直後に、緊急に身の安全を確保する場所です。一時的な避難(短時間)が想定されており、指定避難所とは役割が全く異なります。
重要なのは、緊急避難場所は災害の種類ごとに異なる ということです。洪水の場合は高い建物の上層階や高い公園です。水が来ないくらい高い場所が必要だからです。高潮の場合は高潮対象12地区(上山、大和町、今伊勢町、奥町、萩原町、沖、小信中島、三条、大東、朝日、開明、木曽川)で指定された場所です。地震の場合は火災の危険がない広い公園(広域避難場所)です。建物倒壊や火災の二次被害から逃れるために、広い場所が必要だからです。
同じ「避難場所」という言葉でも、水害なら「高さ」が重要な要素になり、地震なら「広さ」が重要になります。このため、自分が住む地域で「洪水が起きたときの避難場所はどこか」「地震が起きたときの避難場所はどこか」を事前に把握しておくことが大切です。
補助避難所というのもあります。指定避難所の収容能力を超える場合の代替施設として機能します。これらすべての避難施設の位置は、一宮市のハザードマップに表示されています。またスマートフォン利用者向けに、最近ではLINEと連携した避難所へのチェックイン機能も用意されており、自分がどの避難所に避難したかを自動で家族に知らせることができます。
引っ越し前に、自分の家から最も近い避難所と、洪水・地震それぞれの緊急避難場所がどこなのかを、ハザードマップで確認しておくと安心です。
※出典:一宮市|「避難場所・避難所」
情報の受け取り方と日常の備え — 登録は今日できる
防災対策の最後のピースは「情報をどう受け取り、どう備えるか」です。幸いなことに、一宮市では災害情報を受け取るシステムが整備されており、大半は今日から登録・利用できます。
まず登録すべきは「あんしん・防災ねっと」です。これは一宮市が提供する無料のメール配信型緊急情報システムです。気象警報、地震情報、浸水の危険性、避難指示など、重要な情報がスマートフォンに直接届きます。5言語(日本語、英語、中国語、ポルトガル語、韓国語)に対応しており、外国人の家族がいる場合も対応できます。
登録は空メール1通で完結します。日本語の場合は、i.anshin@138bousai.jp に空メールを送るだけです。登録料金は無料(キャリアの通信料が発生する場合はあり)。質問や不明な点があれば、Arcadiaコールセンター(0120-27-0933、平日9時〜17時)に連絡できます。
メール配信の他に、知っておきたいのが「5段階警戒レベル」です。レベル1から5へと段階的に上がり、レベル3は「高齢者等避難」、レベル4は「避難指示」、レベル5は「緊急安全確保」です。自治体からの指示は、この警戒レベルに基づいています。
さらに強力なのが「防災ハンドブック」です。令和5年3月改訂版が最新で、地震や洪水の基礎知識、避難場所・避難所の位置情報、地表震度分布マップ、液状化危険度マップがすべて収載されています。市役所本庁舎4階危機管理課で無料配布されており、転入時に案内チラシも提供されます。PDF版も市公式ウェブサイトからダウンロードできます。
加えて、市では浸水対策の補助制度も用意しています。雨水タンク、浸透桝、止水板などの設置補助があります。これらは個人の防災投資を市が応援する制度です。
日常の備えは「知る」ことから始まります。全体像を理解し、ハザードマップで自分の家を確認し、あんしん・防災ねっとに登録する。これらはすべて今日からできます。
※出典:一宮市|「あんしん・防災ねっと」
まとめ|備える対象を決めれば、災害の情報は整理できる
これまでの内容をまとめると、
- 一宮で備えるのは水害3種(洪水・内水・高潮)+地震・液状化。津波想定はなし
- 「避難所」と「緊急避難場所」は別物。災害の種類で行き先が変わる
- あんしん・防災ねっとの登録と防災ハンドブックの入手は、今日できる備え
となります。
水害それぞれの詳しい読み方は、別の記事で解説しています。
リスクを知って、備えて建てる私たちニッケンホームは、一宮で45年、3,800棟以上の家を建ててきました。この街の土地と気候に合わせた家づくりの基本をまとめた「はじめての家づくり応援BOOK」(4冊)を無料でお届けしています。 土地選びの疑問にも役立つ内容です。営業のお電話はいたしません。 |